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  働かなくてもいい社会を  実現するには?

人間が仕事をしなくても社会がまわる現実的なしくみについて書いていきます。

お金のなくなる日

 

龍人さんのブラックジョーク集2より引用

 

http://www2u.biglobe.ne.jp/~nagaryu/tanpen2.html

 

 

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目が覚めた。

 

俺はいつものように顔を洗って新聞を広げた。

 

一面トップの大見出しは「今日から貨幣制度廃止」

 

 

 

 

すごいことになったもんだ。

 

数年前から経済社会に疑問を持つ人が増え始め、

 

日本のあちこちでそういった声が上がっていたことは知っていたが、

 

崩壊しかけた経済を立て直せる見込みがなかったことも手伝って、

 

あれよあれよと国会で承認されてしまった。

 

ずっと会社で金儲けしてきた俺にはしっくりこないのだが、

 

世論は貨幣制度廃止賛成が大多数になったみたいだから、

 

俺は変わっているほうなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

インスタントコーヒーを一杯飲み、会社に出かけた。

 

開きっぱなしの自動改札を抜け、いつもの電車に乗った。

 

就業時間には皆集まっていたが、何となく静かな雰囲気だ。

 

デスクの電話が鳴った。取引先からだ。

 

「お世話になります。…ええ!あ、はい。ああ、そうですか。

 

わかりました。またよろしくお願いします。」

 

新製品の生産を中止するので、うちの部品はいらなくなったという

 

電話だった。

 

今までならとんでもない一大事だが、金儲けを考えないなら、

 

余計な仕事は減ったほうがいい。

 

まあ、新製品といっても大して進歩していなかったし、

 

資源の節約のためには作らないほうがいいだろう。

 

 

 

同僚のデスクにも似たような電話がかかってきていたようだ。

 

しかし、いつもひっきりなしにかかってくることも、急な呼出もなく、

 

昼休みにはゆっくり食事をとりに外へ出られた。

 

いつも横目で見ていた高級中華のお店に入ろうかと思ったが、

 

行きつけの定食屋に入った。

 

いくらタダでも、俺の年では2人前も食べられない。

 

いつものお気に入りランチを注文して食べ、

 

申し訳ないような気持ちで「ごちそうさま」とだけ言ってお店を出た。

 

 

 

 

さて、午後も暇になってしまった。映画でも見るか。

 

タダだと混んでいるかな。とりあえず最初だけだろうけど。

 

そうだ。今日はデートだから彼女にプレゼントを買おう。

 

せっかくタダなんだし。タダだから「買う」というのもおかしいか。

 

しかし、タダのものをもらったって彼女は喜ばないだろうな。

 

欲しいものなら自分で店に行ってもらってくればいい。

 

じゃあ、プレゼントはやめだ。

 

 

 

 

 

俺は会社に帰って今後の構想を練ることにした。

 

すべてタダということは、お金のあった時代にお金で買えたものなら

 

なんでも手に入るということだ。これはすごいことじゃないか!

 

今まで必死で仕事をしてきてもかなわなかった夢が全部かなうんだ!

 

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まず、家だ。でかい家を買おう、いや、もらおう。

 

どのくらいの広さがいいかな。

 

でも俺は一人暮らしだし、あんまり広いと掃除が大変だ。

 

でかい家も、住もうと思えば誰でも住めるわけだから、

 

持っていても偉いわけじゃないし。

 

どっちかっていうとこれからは、無駄にデカイ家に住んでいると

 

馬鹿にされるかもしれない。

 

じゃあ、家はとりあえず今のアパートでいいや。引越も面倒だしな。

 

 

 

 

じゃあ、車だ。高級車をもらおう。ガソリンもタダなんだから、

 

燃費が悪くても、デカイのにしよう。

 

でも、お金というものがなくなったんだから、高級車に乗ってても

 

誰にも威張れない。

 

ガソリン食う車なんてかっこ悪いだけかもな。これも今のままでいいか。

 

 

 

 

高級ブランドスーツを新調しようと思ったが、

 

会社に来て来るのにそんなにいいものである必要はない。

 

靴もバッグもみんなそうだ。だいたい、全部タダなんだし、

 

何をもっていたって何のステータスもなければ、

 

誰にもうらやましがられないだろう。

 

 

 

 

今までぜいたくだと思ってあこがれていたことって何だったんだろう?

 

無理に仕事を作って金儲けのために苦労してた

 

俺たちは何をやっていたんだろう?

 

誰でも欲しいものが何でも手に入る状態に置かれたら、

 

俺は結局、今まで持っていたものが一番だってことに気づいた。

 

 

 

 

 就業時間が終わって、珍しく定時に会社を出て、俺は彼女に会った。

 

彼女も何だかすっきりしたような顔をしていた。

 

いつも行く居酒屋に入り、せっかくだから今まで飲んでみたいけど、

 

飲めなかった高い焼酎を注文してみた。

 

でも、たいした違いはなく、2杯目からはいつものやつに変えた。

 

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 旅行もタダだよな。宿泊もタダだよな。

 

 なんでも手に入る社会だと所有の価値がなくなる。

 

 

paradism.hatenablog.com

 

 

誰でも手に入れられるものに価値はない。

 

高級車はタダの車という移動手段、ダイヤモンドはタダの石ころ、

 

ブランドもののバッグや服はタダの入れ物であり衣服になる。

 

 お金が原因で夢のままだったことが、お金のない社会では現実に叶う。