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  働かなくてもいい社会を  実現するには?

人間が仕事をしなくても社会がまわる現実的なしくみについて書いていきます。

囲い込み(クローズド)とコモンズ(オープン)

限界費用ゼロ社会 シェア コモンズ

 

 特許で儲けるか、オープンソースで公開するか。

 

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(限界費用ゼロ社会より引用)

 

 

私(リフキン)が最先端技術の囲い込み(著作権)という

新たな囲い込みを初めて知ったのは、1979年のことだった。

 

微生物学者アナンダ・チャクラバーティが主張した

遺伝子組み換え微生物に関する特許の申請は、

合衆国特許商標(PTO)に却下された。

 

生物はアメリカの法律では特許取得の対象になりえないというのだ。

 

(略)

 

けっきょくのところ、化学者も、周期表にある科学元素に関して

特許の習得を許可された試しがない。

民間企業に遺伝子コードの所有権が与えられれば、このうえなく貴重な資源である

生命そのものを囲い込んで、市場における利己的な利用や販売、利益のための

単なる商品に貶しめることになると私たちは警告した。

 

 

(略)

 

ところがチャクラバーティの裁判は最高裁判所まで進んで、

遺伝子組み換え生物に関する特許を認められた。

 

(略) 

 

8年後、私たちが警告した「恐ろしい予測の羅列」が現実化した。

PTOは生命に対して特許権を与えないという、長年とってきた立場を翻し、

動物も含め、遺伝子操作された多細胞生物はすべて特許習得の可能性があると

裁定を下した。

 

(略)

 

法律や政府による規制監督が、地球のコモンズに対する営利目的の

囲い込みを促すようにすっかり条件付けされている資本主義体制においては、

生命に対する特許権に反対しても無駄なのだと。

 

政府と民間企業以外に、地球の生物世界、資源を管理する手段として、

他にどんな制度あるいは機関が利用できるだろうか?

それを追求しているうちに、私はコモンズの再発見に至った。

 

(略)

 

それから私は、ヨーロッパの農地の封建的な囲い込み、

16世紀の探険と発見の時代における海洋のコモンズの囲い込みや、

18世紀後期における、特許権著作権商標権という知的財産権の導入に伴う、

知識コモンズの囲い込み、

20世紀前期における、民間企業の周波数帯域の囲い込み、

20世紀後半における、遺伝子コモンズの囲い込みへと進んだ。

 

私は21世紀に向けてコモンズ・モデルを再考することが、

多様な利害関係者を本質的に異なる領域から共通の目標へと結集させる

ための要になるかもしれないと主張した。

 

(略)

 

グローバルな遺伝子コモンズを管理するとともに、

これ以上の囲い込みを防ぐことを目的として、多数の団体や組織が設立された。

  

 

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また、新しいITや演算処理テクノロジーが遺伝子研究を加速させるなか、

遺伝子コモンズ擁護の声が高まっている。

ITやインターネット・テクノロジーが、遺伝子配列決定に関するコスト、

DNAの塩基対100万個を解読するコストを1000万から

わずか数円まで急落させた。

 

これは、遺伝子研究に関しては、そう遠くない将来に限界費用がゼロになり、

インターネット上の情報とまさに同じように、

貴重な生物学上のデータがほぼ無料で入手可能になることを意味する。

 

生物学の研究とそれに伴う専門知識を利用できるのは、

政府機関や産業界で働く科学者のエリート集団に限られていたが、

今では、多くの大学生や愛好家たちでもそういったものに手が届く。

 

(略)

 

インターネットと共に育った若い世代の研究者たちは、

遺伝子情報の開かれた共有は自らの権利であり、

他の情報に自由にアクセスできる権利に劣らず重要だと考えているのだ。

 

将来は、ゲノム研究が無料になり、その応用もタダ同然になりそうなので、

科学的な試みをコモンズ方式で管理するという見通しが

非常に現実的な選択肢になっている。

 

(略)

 

地球の生物学に関して増え続ける知識を自由にシェアしようとする動きが

急速に高まってきているが、これは、ソフトウェアや音楽、娯楽やニュースを

自由にシェアしようとする気運が盛り上がったときと同じ状況だ。

 

当時、情報を生成するときの限界費用の急落が、

LINUXwikipediaナップスターyoutubeなどの開かれたコモンズを

生んだのだ。

  

 

「無料の遺伝学」の運動はここ30年来、「無料のソフトウェア」の運動と

並走してきた。

両者は、従来の知的財産の保護に対抗して、

開かれた形での情報のシェアを擁護しており、それぞれ手強い敵に対峙している。

 

この2つの運動は共通の哲学的基盤を持っていたが、

生命情報学という新たな分野の誕生を受けて

技術的な基盤も共有するようになってきた。

 

(略)

 

コンピュータは遺伝子情報の解読と保存に利用されるだけではない。

 

(略)

 

バーチャルな環境は、研究者が新しい仮説やシナリオを生み出し、

後にそれを基にして新しい農産物や医薬品を実験室でテストするのに役立つ。

バーチャルな実験室での研究ならば、生物学者はキーをいくつか叩けば

合成分子を作り出すことができ、実験台の上で本物の分子を合成するときの、

得てして、何年もかかる骨の折れるプロセスを省いて研究を進めることが可能だ。

 

現在、コンピュータの演算処理テクノロジーは他のすべての分野に拡がり、

インフォハッカー、バイオハッカー、3Dハッカー、クリーンウェブハッカー

など、様々な興味を持つ人々をひとつにした。

 

これらのグループをすべて結びつける絆となっているのは、

協働型のオープンソース経済やコモンズの統治モデルに対する深い傾倒だ。

 

これらの新しい動きに関わる人々に共通しているのは、

ピアトゥピアのコモンズ方式の管理が優れているという熱烈な信念であり、

彼らは限界費用がゼロの社会の恩恵が阻まれずに確実に実現されるためには、

これが最良の統治モデルだと信じているのだ。

 

 

(引用終わり)

 

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 医療データにアクセスできるようになると以前の記事で書いたけども、

遺伝子研究なども無料でアクセスできるようになり研究の大衆化が進む。

 

もしかして、だんだん専門家と素人、プロとアマチュアの違いに関わらず、

一緒に研究とかに取り組んでいくようになるのかも。

 

今回のバイオテクノロジーも含め、インターネットが各分野に進出し、

参加型、ネットワーク型、シェアが広まるにつれて、横の関係、

つまり、ネットワーク参加者、あるいは協働型経済を作るコミュニティでは

コモンズという統治モデルがふさわしくなっていくだろう。