働かなくてもいい社会を  実現するには?

人間が仕事をしなくても社会がまわる現実的なしくみについて書いていきます。

新しいコモンズの世界観

 

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(限界費用ゼロ社会より引用)

 

 

オープンソース・ライセンスは文化の大衆化を促すように構想されており、

それはそれで結構だ。

このような法的手段をコモンズ方式の管理に付加するのはさらに素晴らしい。

私たち人類の社会生活の大半は

パブリック・ドメイン(独占保護されていない状態)

社会関係資本や信頼を生み出すことで

最適になるという考え方は、常識に適っている。

 

 

だが、これらは法的手段や管理規定ではあるが、それ自体は世界観とは言い難い。

この筋書きに欠けているのは、ひとつにまとめた世界観、

人類の歩みの未来についての新しいストーリーだ。

 

 

ITやインターネット、フリーカルチャー運動のリーダーたちは、

フリーソフトウェア・ライセンスやクリエイティブ・コモンズ

合意が成功を重ねてゆくただなかで、

世界観の要素が欠落しているのに気づき始めた。

 

 

クリエイティブ・コモンズの創設者の一人、ボイルは、

環境保護運動はフリーカルチャー運動と並行して進むうちに、

ひょっとすると、二つの運動をもっと大きな世界観にまとめること

さえ可能かもしれない理論がうまい具合にできあがっていることに気づいた。

 

 (略)

 

多くの場合、絶滅危惧種に危機が迫っている原因は、

生態系を断ち切って複雑な生態系の活動を損ない、その結果、

自然の動植物相を減少させるような、政治、ビジネス、居住の

勝手な境界を押し付けられたことである。

 

 

活動家たちは「越境公園」の設立を求めた。

越境公園の使命は、

様々な生態系に存在する他の多くの複雑な生物的関係も

併せて回復させるために、

かつては国境によって分断されていた自然の生態系を

再び結び付けることだ。

 

 

越境公園は、環境の囲い込み、私有化、商業開発を重視する

既存の世界観から脱却し、

地域の生態系コモンズにおける生物多様性を回復させて管理し、

再び全体を一つにしようとするものだ。

 

 

重要性において自然の境界が政治やビジネスの境界に取って代わる

という考えそのものが、

社会の世界観を、個人の私利、ビジネス、地政学的配慮から、

自然の全体的な繁栄に向け直すという効果を持っている。

 

 

地球の環境コモンズ囲い込みの増加を特徴とする時代が500年続いた後、

越境公園は、ごく限られた形ではあるにしても、コモンズを再び開放する。

 

 

生態学が学問として非常に先鋭的なのは、地球を、

全体の機能を維持するために共生的かつ相乗的に機能する、

相互関係の複雑なシステムとして重要視しているからだ。

 

(略)

 

生物圏は分割不可能なまとまった共同体で、私たちはみなこれに属し、

その繁栄は私たち自身の繁栄や生き残りの保障とは切り離せないものである

ということに人類は急速に気づきつつある。

 

 

ボイルは、環境保護的観点をたとえとして用い、

パブリック・ドメイン(=独占保護されていない状態)の不可分性に

まつわるシステム理論の一つで、

本質的に異なる様々な興味や取り組みをすべて一つの包括的な

一般理論にまとめられるかもしれないと考えた。

 

(略)

 

フリーカルチャー運動と環境保護運動の持つ真の歴史的重要性は、

どちらとも囲い込みの勢力に立ち向かっている点にある。

 

 

 (略)

 

文化コモンズを開放するために使われた法的手段と、

環境コモンズを開放するのに使われた法的手段さえもが、

不思議なほど似通っている。

 

例えば、「保全地役権」は、文化の領域における

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによく似た法的規定によって

機能している。

 

保全地役権は、

土地の使用権の一部をパブリック・ドメイン移すことによって、

囲い込みの動きを押さえ込む。

この法的手段は、ほとんど同じ機能を持つオープンソース

クリエイティブ・ライセンスと似ている。

 

どちらの場合もその主眼は、資本主義時代の最大の特徴である、

地球の様々なコモンズの囲い込みを覆し、

コモンズを再開放して元に戻し、生物圏を回復させ、

繁栄させることにある。

 

(略)

 

人類の知識と地球の資源の私有化をもたらすグローバル化にも

多くの大衆たちは抗議の声を上げている。

 

(略)

 

活動家たちは、公共広場を再生することで、

特別利益団体や少数の特権階級の人々に奪われ、

商品化され、囲い込まれてきた他の多くのコモンズを

再開放しようという目的で団結している。

 

 

それぞれ様々な形の囲い込みに反対し、

透明で階層のない協働型の文化の構築を基本的なテーマとして

展開中の、新たな文化的現象の最前線にいる人々が

ネットワーク化された新しいコモンズの参加者だ。

 

 

コモンズは、政府と市場のどちらよりも基本的なもので、

我々全員が先祖から相続した共有遺産である広大な領域のことをいい、

我々はたいてい使用料も代価も払わずにそれを使う。

 

 

(引用終わり)

 

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生物圏では、共生関係、相乗作用によって生態系という関係で結びついていた。

これを私有化や囲い込みによって、その相互関係を断ち切ったことで

生態系は危機に直面してしまった。

 

これと同じことが経済社会でも言える。

著作権特許権、私有化という囲い込みによって、

地域コミュニティは 危機に直面した。

 

互いに共通するこの課題を解決するには、

本来あるべき姿というか元々の状態、独占されたりしていない状態で

互いに影響しあう関係を回復させることが重要だとリフキンは主張している。

 

 

コモンズについてはまた何度か読み直す必要がある。

重要な考え方だし、この限界費用ゼロ社会を読むまでは全く知らなかった。

私の場合、政府と市場しかないと思い込んでいた。

だが、どちらも、中央集権型であり、その二つが欠陥であることは明白であり、

何か他ないかなと探していたところだった。

 

演算処理テクノロジーの向上とインターネットの発達が

限界費用ゼロでの無料の財やサービスのやりとりを可能にするとき、

階層のない横の関係、ネットワーク型の協働型経済に

コモンズの考えを大いに活用したい。